先週末、久々に家内と映画を観にいきました。
タイトルは「マダム・マロリーと魔法のスパイス」、封切ほやほやの映画です。
我々夫婦は共に50歳を超えていて、映画もシニア割引があるので助かります。朝一番の上映(年寄りは早起きなので・・・)に行ったので封切直後の映画にもかかわらず、座席はガラガラでゆっくり観ることができてよかったです。
さて、物語は災難に巻き込まれてフランスの片田舎へ流れ着いたインド人家族と、その田舎町でフランス料理店を経営するこてこてのフランスマダムの物語です。
出会った当初はその文化の違いからいさかいが絶えませんが、インド人家族の息子が作る料理によってわだかまりが氷解して、心の交流が生まれていきます。
マダム・マロリーを演じるヘレン・ミレンが、これぞフランス人!という演技で秀逸でした。ストーリー的にはありがちな話なのかも知れませんが、絶妙のキャスティングというんでしょうか、インド人の頑固親爺、シェフを目指すレストランの見習い女性、町の人々、どれもが納得できるものでした。
また、フランス VS インドの異文化のコントラストも見事に表現されていて面白い映画だったと思います。(お互いが我が料理や文化を世界一と思っている辺り、うんうん、あるあるという感じです。)
マダム・マロリーは、自らのレストランが30年もミシュランの一ッ星に甘んじていることに苛立っています。インド青年の才能によって、念願の二ッ星を獲得するわけですが、その感激ぶりや、どれほどミシュラン二つ星が権威のあるものかを物語ります。
我々は、ミシュラン三ツ星を案外安易に考えがちですが、三ツ星店などはまさに「神」の領域だそうです。(不肖、私はフランス出張の折、一度だけパリの1ッ星のレストランへ行きましたが、その店ですらなかなか予約が取れず、料理は今まで経験したことのないようなレベルでしたもんね。)
一方、インド青年は自分のことを決して「シェフ」とは呼びません。「私はコックです。」と。これもフランス料理の権威に対しての自分のプライドなのでしょうね。
インド青年はその腕(舌?)を買われて、パリの有名店に引き抜かれます。その店のシーンはもはやレストランと呼べるものではなく、よく言えばアバンギャルド?、非現実的な空間でした。ひょっとしたらフランス料理も行くところまで行ってしまって、ビジュアルなどに頼らざる得ない状況なのでしょうか?
この映画は、そういう状況への警告かもしれませんね。味で人を感動させないとという・・・。
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