健康よもやまばなし

読書感想文「海賊とよばれた男」百田尚樹

先日、百田尚樹氏著の「海賊とよばれた男」上下刊を読み終えました。

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ご承知の通り、これは「出光興産」の創業者をモデルにした小説だそうです。

いつも申し上げている通り、今回も感じましたが、氏の小説はテンポといいますか、読み物として非常に読みやすく(文芸性がないと言っているんじゃありません。)、なんとなくスイスイ先に進みます。

主人公は、幾多の困難を乗り越え一代にして巨大企業を立ち上げた、いわば立志伝中の人物です。しかしそこには、欺瞞や画策を用いず、正々堂々と自らの信念を貫いた生涯が描かれています。

その核となるのは、「古き良き日本人像」といいますか、「日本人のあるべき姿」の追求ということになるのでしょう。そういう意味では氏の作品「永遠の0」の主人公と通じるものがあり、思うに著者が非常に好む人物像なのでしょう。

常に祖国の発展と将来を見据え、そのためには自分の不利を厭わず、常に何かに挑戦するその姿は、私、商売人の端くれとしてもお手本にしなければなりません。しかし世の中、そんなに甘いものではなく、ついつい安易な方に流れていくのが人間というもので・・・
主人公の生き様を、少しでも自分への戒めにしなくては。

作中、「民族系会社」という言葉が度々登場します。それは文字通り、外資の圧力に屈せず日本人の独立性を保った会社という意味です。外資の前に安易な方へ流れていく競合他社と一線を画し茨の道を突き進む。まぁ小説なので、多少の誇張はあるやも、ですが、そういう「男」でありたいと思います。

作品は、明治から昭和のある男の生涯が描かれたものですが、彼の信念は、このグローバル社会に生きる我々に、「日本人としての立ち位置」を暗示してくれているような気がしますね。最近、日本を取り巻く環境は何かとややこしいですが、理不尽なことには毅然とした態度で接する、というような気概を持つ。男としてプライドを捨ててはいけません。


2014年9月17日